「PyPy 5.0」リリース、起動時間やメモリ使用量の短縮が行われる

 Python実行環境「PyPy」の開発チームは3月10日、最新版「PyPy 5.0」をリリースした。性能の強化などが行われている。

 PyPyはPython 2.7.10/3.2.5相当の機能を実装したPythonインタプリタ/JITコンパイラ。高速で低メモリ消費、スタックレスモードのサポートなどの特徴を持ち、既存のPythonコードをそのまま実行できる高い互換性を持つ。外部ライブラリを呼び出すインターフェイスであるCFFIのサポートにより、twisted、djangoといった外部ライブラリもそのまま利用できる。

 PyPy 5.0は、2015年10月に公開された「PyPy 4.0」に続くメジャーアップデートとなる。性能では、JIT関連のメタデータのメモリ使用の縮小とウォームアップ時間の高速化を図った。それぞれ30%程度の改善があると報告している。

 また、C APIレイヤを提供する「cpyext」が大きく改善された。CレベルのオブジェクトとPyPyインタプリタレベルのオブジェクトとのやりとりを簡素化し、より高速に動作するようになったという。

 Linux上でPyPy向けのプロファイラとして使われていたvmprofが、LinuxだけでなくWindowsやMac OS Xでも使用できるようになった。PyPyとCPythonのプロファイルで利用できるという。また、テスト作成でhypothesisを使用するようになった。hypothesisはテストのランダム化に優れるという。

 CFFIはバージョン1.5.2となり、PyPy(またはCPython)をC言語で書かれたプログラムに組み込みが可能になった。このほか多数のバグ修正も行われている。

 PyPy 5.0はプロジェクトのWebサイトより入手できる。x86、ARM(ARMv6またはARMv7)、64ビットPowerPCに対応する。

PyPy
http://pypy.org/