Sun、Solaris 10のサポート料金をRed Hatの約半額に設定

 米Sun Microsystemsは1月16日、UNIX OSの最新版「Solaris 10 11/06」のサポート・サービス料金を発表した。米Red Hatが提供しているRed Hat Linuxのサポート・プランと同等の内容でありながら、その約半額という戦略的な価格を設定している。

 Sunの発表によると、Solaris 10の年間サポート契約の料金は、1ソケットまたは2ソケットのx86サーバ向けが240ドルから1,180ドルで、選択プランが「ベーシック」か「プレミアム」によって変わる。同社の広報担当者であるボブ・ウィーンツェン氏は、「例えばRed Hatが用意している同等のプランに比べると、ベーシック・プランで約40%、プレミアム・プランで約50%割安だ」と説明する。

 Solaris 10のサポート料金をRed Hat Linuxのそれよりも低く設定したことは、SunがRed Hatを標的にしていることの表れでもある。米国のテクノロジー調査会社、イルミナータのジョナサン・ユーニス氏は、「これは、Solarisがマーケット・シェアを獲得できるようにするための“ボリューム・プレイ”だ」と語っている。

 Solaris 10 11/06は、SunのWebサイトから無料でダウンロードできる。同OSは、Sun製のx86サーバだけでなく、Dellやヒューレット・パッカード(HP)、IBMのサーバでも稼働する。

 Red Hatが他社からのサポート料金引き下げ圧力にさらされるのは、今回が初めてではない。最近では、Oracleが昨年10月にRed Hat Linuxのサポート・サービス「Unbreakable Linux 2.0」をRed Hatよりも低価格で提供すると発表した。またMicrosoftも、SUSE Linuxを擁するNovellと同年11月に提携し、Linuxサポートを含むWindows相互運用プログラムについて検討中だ。

 今回のSunの発表についてRed Hatの広報担当者にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。ただ、同社のCEO(最高経営責任者)であるマニュー・ズーリック氏は、昨秋のOracleの発表を受けてRed Hatの株価が下落した際も、「ライバル会社の値下げを理由にサポート料金を引き下げることはない」と述べている。

 ユーニス氏によると、Solaris 10 11/06での最も注目すべき改善点はSolaris Clusters機能だという。「前バージョンのSolaris Clustersは、SPARCプラットフォームでは問題なかったものの、x86プラットフォームではあまりうまく機能しなかった。Solaris 10 11/06に備わるSolaris Clusters機能ではこの点が改善されている」と同氏は語る。

 また、Solaris 10 11/06は、オープンソースの仮想化技術「Xen hypervisor」をサポートしている。仮想化とは、サーバが同時に複数のOSとアプリケーションを動かすことを指す。サンのLogical DomainsおよびSolaris Containers機能により、UltraSPARC搭載のサーバで最大32個の異なるOSを稼働させることができる。

 なお、Sunのウィーンツェン氏は16日、同社がSolarisをGNU GPL(General Public License)の下でオープンソース化するとの報道に対して、「その可能性を度外視しているわけではないが、今日はこの件について何も発表することがない」として言及を避けた。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米Sun Microsystems
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提供:Computerworld.jp