Microsoftという獣の刻印

最近どこかの大手OEMのWebサイトでLinuxラップトップを探したことがある人は、おそらく恐ろしい「獣の刻印」を目にしたことだろう。「Dell(またはLenovo、HP、Acer)のお勧めはWindows XP Professional」と書かれていたのではないだろうか。これはつまり、Microsoftの販売協定のおかげで、米国のOEMは、Linuxのプリインストールをするよりもプリインストールをやめた方が利益になるということを意味している。国が違うとこうも事情が変わるものだろうか。

私はLinuxプリインストールのDellラップトップを探していて、目的の品を見つけたところで獣の刻印を目にした。「DellのラップトップではLinuxを公式にサポートしていません。Linuxをお使いになる場合は、コミュニティがサポートする有益なリソースが数多くありますのでそちらをご利用ください」というのだ。

Hewlett-Packardのサイトはもう少し見込みがあるようだ。同社のNX5000ラップトップにはLinuxのオプションが用意されている。しかし、これはプリインストールではない。ラップトップにSUSEのコピーが付いてきて、自分でインストールできるというだけの話だ。ここにも獣の刻印がある。

Lenovoは先月、今後はいっさいLinuxラップトップを提供しないという発表をし、それを数日後に自ら撤回するという混乱を見せた。もちろん、LenovoのWebサイトにも獣の刻印が押されている。さらに、Lenovoの周辺には臭いまで漂っている。Linuxからの撤退という間違った発表がされたのは、LenovoがMicrosoftとの10億ドルのソフトウェア契約に署名をした直後のことだった。

Lenovoはおそらく第三四半期にはNovellのSUSEのプリインストールを開始すると思われるが、それまでユーザがそのライセンスをどうやって取得すればよいのかはわからない。この件については今後も注目していきたい。

前にも述べたとおり、国が違うと事情が変わってくる。以前のHindu Timesの記事に、Linuxラップトップの累積需要についての話がある。インドでは、IBM(現在はLenovo)、Dell、HP、Acerといった大手OEMはいずれも購入者にLinuxとWindowsの選択肢を与えている。プリインストールの状況も米国とは異なっている。

記事にはこう書かれている。「Linuxオペレーティングシステムがプリインストールされたラップトップもインドのユーザの人気を集めている」。さらに、この主張を裏付ける証拠として、HPの消費者向けポータブル機器担当のカントリーマネージャであるRajiv Groverの「我々のラップトップビジネスの20~22%はLinuxプリインストールのノートブックが占めている」という言葉を引用している。

インドや他の国の消費者には選択の自由があるのに、どうして米国の消費者の自由は制限されているのだろうか? 私の予感では、獣の刻印はこれからもあちこちで見られるようになるだろう。なぜなら、北米ではMicrosoftがOEMにお金を払ってLinuxのプリインストールをしないように働きかけており、OEMにとっては、Linuxのプリインストールをするよりもプリインストールをやめた方が利益になるからだ。

これにより、Microsoftはデスクトップ市場の独占を維持して引き続き大きな利益を獲得することができ、同時にデスクトップ市場へのLinuxの侵攻を防ぐことができる。「いつになったらLinuxをデスクトップで使用できるようになるか?」という質問には意味がない。物事の本質は別のところにある。インドでの売上実績がそれを証明している。もっと的確な質問は、「いつになったらOEMが米国でもLinuxプリインストール製品を販売できるようになって、購入者が安価で品質の良いソフトウェアを使用できるようになるか?」というものだ。

NewsForge.com 原文